2016年1月30日土曜日

「古い本 古いもの」最後の本


おはようございます。

「古い本 古いもの」本日で終了します。

最後にどの本を紹介しようか迷いましたが、これにしました。



「塔の幻想」
龍膽寺 雄(りゅうたんじ ゆう)著・1978年・奢霸都館(さばとかん)

作者も出版社も「??」でしたが、とにかくまず装丁が素敵で一目惚れしました。
紙、挿絵、印字、行間、構成、どれをとっても丁寧な仕事で美しい。
作り手のこの本への並々ならぬ思い入れと愛情が伝わってくる一冊。

文章の不思議な読みやすさもこの本の魅力です。軽快で明るい。
昭和4年ー10年(1929ー1935)年の間に書かれた短編7話からなる本。
詩のような小説で、どのページから開いても、何も考えずに読めます。



龍膽(胆)寺 雄(1901ー1992)は作家でサボテン研究家、という名前に違わぬ興味深い肩書きの人です。
若干20代でその文才を谷崎潤一郎らに絶賛されるなど、一定の評価を確立しましたが、若くして一気に流行作家に祭り上げられてしまったせいか、その後は人気作家にはならなかったようです。

戦後は執筆を続ける傍ら、サボテンの魅力に目覚め、「日本砂漠植物研究会」を主宰するなどサボテンの栽培と研究に没頭、その成果は世界的に高く評価されました。サボテンへの愛を綴った随筆集「シャボテン幻想」など。

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