2021年11月30日火曜日

こちょことこしょ

 

終了しました。
山椒は小粒でもピリリと、、を一つのテーマに、
ちっちゃいけどスパイスの効いた、お猪口と古本の展示会。
「モノずき」な皆さまにお越しいただき感謝しています。
ありがとうございました。
うっかり出し忘れていた「こちょこ」。
伊万里の六角形の筒。ツルの白抜き染付が躍動感があっていいな。
釧路にピッタリだね、と思ってて、忘れてました。
これも紹介しそびれた「こしょ」。
にっぽん快人物列伝 紀田順一郎 著 旺文社文庫
永井荷風、田中正造、竹久夢二、乃木希典、南方熊楠、坂田三吉など、
カテゴリーを作家、思想家、画家、為政者、学者、芸能人と分け、
明治、大正、昭和を生きた、個性あふれる「にっぽん」人のエピソード集です。
「彼は特異な胃袋を持っていて、嘔吐したいと思うときにはいつでも吐くことができた。(中略)のち、世間に名を知られるようになってからも、気にいらぬ訪問者にはヘドを吐きかけて、玄関払いを食わした。(南方熊楠ー世界的な超人学者)」





2021年11月28日日曜日

こちょことこしょ

 最終日

こしょ
怪僧ラスプーチン マッシモ・グリッランディ 著 米川 良夫 訳 中公文庫
帝政ロシア末期に暗躍し、怪僧と恐れられたラスプーチンの伝記本です。
皇帝をそそのかし、貴族たちをたぶらかし、婦女をたらしこみ、
その邪悪な妖術を用いて、内政を混乱に陥れたかどで最後は暗殺された、祈祷僧の数奇な生涯が書かれています。
1ページ目を開くなり、ゾッとしました。
字が小さくて読みづらいのです。目の焦点がすぐにかすんでボヤける。
そのせいか、読み進める気もちが、吸いとられるように徐々に弱っていきました。
まんまとラスプーチンの術中にはまってしまった。
怪僧の妖術で、自分は初期老眼にされてしまったようです。
本を閉じ、自分は降参しました。
震えが止まりません、おそるべしラスプーチン。


こちょこ
色絵 伊万里(祥瑞・九谷風)盃 幕末ー明治時代
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2021年11月27日土曜日

こちょことこしょ

 五日目 いよいよ明日まで!

こしょ
毒のある植物 難波恒夫・御影雅幸 共著 カラーブックス
今回、写真付きのコンパクトな本といえば、、
と、川島さんと話しをしていて真っ先に思い浮かんだのが、
このカラーブックス・シリーズでした。
なにげに突っ込んだ内容の本が多く、オッときます。
「ウルシ・中毒症状 皮膚の弱い人やウルシオールにとくに敏感な人は、木のそばを通ったり、また新しい漆器に口をつけただけでもかぶれてしまいます。かぶれると皮膚は赤くなり、次いで水泡が生じます」



こちょこ
そばちょこ 藤棚紋様 江戸後期
「そばちょこ」と呼ばれるようになるのは蕎麦が流行り出した19世紀のことで、
それまでは「ちょく」と呼ばれ、懐石などに出される、ホタルイカや、ちょっとしたおかずを入れる器でした。
絵柄違いを三つ横に並べてみると、大きさがけっこう違います。
右から、江戸中期(18世紀)→江戸後期(18−19世紀)→江戸後期(19世紀)

2021年11月26日金曜日

こちょことこしょ

 四日目


こしょ

宮沢賢治 詩集 無聲慟哭・オホーツク挽歌 新潮文庫
「しづくのなかに朝顔が咲いている
モーニンググローリのそのグローリ
いまさっきの曠原風の荷馬車がくる。
(オホーツク挽歌)」
古書らしい「こしょ」です。(1953年初版の)第二刷・1955年発行。
宮沢賢治が、1923年の8月、教え子の就職を依頼しに王子製紙(樺太分社)を訪ねるため、
北海道へ赴いた際に書かれた詩が「オホーツク挽歌」です。
前年に最愛の妹トシを結核で失い、その魂との「通信」を求めて、彼女の影を引きずる心理がみてとれます。
「夜があけて海岸へかかるなら
そして波がきらきら光るなら
なにもかもみんないいかもしれない」


こちょこ 
珉平(みんぺい)焼 幕末ー明治時代
淡路島で、京焼を学んだ賀集珉平が、文政年間(1818-30)に開窯した陶器窯の器です。





2021年11月25日木曜日

こちょことこしょ

 三日目


この展示会に際して、自分が見つけてきた、古いおちょこを「こちょこ」と題しました。
「ちょこ」というと、その言葉の意味の幅はとても広くて、蚤の市などで100円で売ってるような昭和レトロな磁器から、伊万里の蕎麦猪口、陶器の盃までさまざまです。
前に、奈良の行きつけの骨董屋さんで3000円の蕎麦猪口を買ったあと、ふと、味のついた瀬戸焼の盃に目がとまり、値段を聞くと「35000円」と言われ、にわかにギョッとしました。
こすけてキズもあるのに、こんな小っちゃいものがずいぶん高いんだな、と目を丸くしていると、それを察したように店主が言うには、
「『酒器』という分野がありましてな、いわゆる『ちょこ』とは違うんですわ。この酒器を好む人たちがこれを買うんです。」
値段もさることながら、「酒器」て怪しくて面白い世界だな、と思った次第です。
今回は、「酒器」ほど高価でないにせよ、ちょっと古くて、ユニークで、面白い「ちょこ」を選んできました。名づけて「こちょこ」です。
小代焼 盃 江戸後期




2021年11月24日水曜日

こちょことこしょ

 二日目

昨日はたくさんの方にお越しいただき、誠にありがとうございました。
イベント「ちょこしょ」も、川島さんとの2年半ぶりのトークイベントでしたが、
本の好きなお客様にも活発に発言いただき、おかげさまで楽しい「好きもの空間」になっていたと思います。ありがとうございました。
写真撮る余裕がなかった、、ので良い記憶として残しておきます。


こしょ
蜷川幸雄+長谷部浩 演出術 ちくま文庫
「三島さんは戦後のすべてを虚妄だと思って生きた。『弱法師』のなかで、五歳のときの原体験に固執している俊徳というのは間違いなく、三島由紀夫なわけです。『俊徳は三島なんだ』と観客に対してはっきり伝えるには、三島さんの自刃に至る最後の光景をだぶらせる演出しかない。(三島由紀夫ー近代能学集)」
こちょこ
九谷 色絵人物画 煎茶碗 明治時代





2021年11月23日火曜日

こちょことこしょ

 初日です。

イベント「ちょこしょ」にご予約いただいたお客様さまと、
皆さまのお越しをお待ちしております。
こちょことこしょこちょことこしょこちょことこしょこちょことこしょ。。。



2021年11月21日日曜日

こちょことこしょ


こちょこ
印判手 銅板転写カップ 明治時代
こしょ
アーヴィン・ウェルシュ トレインスポッティング 角川文庫

90年代半ばのイギリスのロック・ポップ音楽ファンで、知らない人はいない映画の原作本です。
無為にヘロインに溺れる、スコットランドの若者の毎日を描いた、本来ならば悲惨な物語なのですが、洗練された映像美と、シーンごとにピッタリくるサントラの選曲(イギーポップ、ルーリード、PULP、アンダーワールド)など、90分のミュージックビデオを観るような感覚で、すっかり圧倒されました。
本の表紙カバーは映画のポスターをそのまま転用しています。坊主頭のユアン・マクレガーの写真をプリントしたTシャツが、当時タワーレコードで売られていて、テレビでキムタクが着ていたほどの人気でした。
このポスターも、映画の冒頭と最後に流れるTRAINSPOTTINGのロゴも、アートワーク全体がイギリスのデザイン集団TOMATOによるものです。
当時15歳だった自分も、奈良の映画館で観て、そのかっこよさにどっぷり感化され、坊主ユアンの映画チラシを突きつけて、「西洋人の毛質とはちがうのにな〜」と困る散髪屋さんに無理くり坊主頭にしてもらいましたが、大目にみても野球部の補欠部員にしか見えず、毛質以上の大きなちがいがあるという事実に愕然として、頭も冷えて風邪をひきました。




2021年11月19日金曜日

こちょことこしょ

 11月23-28日


こしょ

ザ・釧路な豆本と小ガイドブック。
どちらも釧路の文学を牽引した同人誌「北海道文学」を主宰した鳥居省三さんが携わった小本です。
特に1969年刊のガイドブックはところどころに黄ページの広告があり、今はなき丸三鶴屋や喫茶店が偲ばれます。



こちょこ・豆ちょこ?

生掛けの釉薬と高台の削り具合から、けっこう古い手の伊万里かな、とは思っていましたが、こんな、ままごとみたいな小ちゃいのが何用に作られたのか、しばらく分からないままでした。
つい最近、友だちが「お食い初め」の器について教えてくれて、ちょっと合点がいきました。
伊万里 17-18世紀




2021年11月18日木曜日

こちょことこしょ

 

こしょ
筒井康隆 著 本の森の狩人 岩波新書 275
「天才、筒井康隆おにいさま」と田辺聖子さんが、なにかのエッセイで書いていたのが印象に残っています。
最初のページから一字一句追わずに、パラッパラッと、いい加減に流し見しながら、時折ハッとするような文言に心打たれる本がありますが、本書もその一冊です。
「悪」について語るジョルジュ・バタイユの文芸評論を挙げながら、ジャン・ジュネの「泥棒日記」に出てくる「下劣で偽善的で、儲けになる時には卑劣になり、卑屈で残忍な悪意のかたまりであるアルマン」を、その余りに打算的な卑劣さゆえに退けているバタイユに対して、筒井さんはこう言ってのけます。
「おれは芸術的であろうとなかろうと、悪とは本来アルマンのようでなければならないと思っている。みみっちく、卑しく、より多くの人間に迷惑をかけ、より多くの人間から憎まれることこそ悪の本懐だと思うのだがいかがなものか。(ジョルジュ・バタイユ『文学と悪』ー芸術における悪)」

こちょこ
萬古焼 煎茶碗 明治時代






2021年11月17日水曜日

こちょことこしょ

 こしょ


高峰秀子 編 おいしいはなし ちくま文庫

「私は常々、自分の職務をしっかりやれる人は、食べものに対してもしっかりした舌を持っているし、食べものに対して情熱をかたむける人は、仕事に対しても猛然と情熱を燃やす人だ、と信じている。(はじめに 高峰秀子)」
子役時代は「デコちゃん」の愛称で親しまれ、やがて昭和を代表する女優に、引退後はエッセイストとして知られた高峰秀子が選んだ、食にまつわる「おいしい文章」集です。
北野武「食べることは排泄と同じ」沢村貞子「私のお弁当」など興味をそそる筆者とタイトルが並んでいて、どの文章から食べようかと迷ってしまいます。


「日本に帰って、いちばん先に作ったのものは、海苔弁である。
まずおいしいご飯を炊く。
十分に蒸らしてから、塗りのお弁当箱にふわりと三分の一ほど平らにつめる。かつお節を醤油でしめらせたものを、うすく敷き、その上に火取って八枚切りにした海苔をのせる。これを三回くりかえし、いちばん上に、蓋にくっつかないよう、ごはん粒をひとならべするようにほんの少し、ごはんをのせてから、蓋をして、五分ほど蒸らしていただく。(食らわんか 向田邦子)」



2021年11月16日火曜日

こちょことこしょ

 

11月23−28日
こしょ
川勝正幸 21世紀のポップ中毒者 河出文庫
自らを「ポップ・ウィルスに感染した『ポップ中毒者』」と呼んだエディター/ライター。
古書かわしまの川島さんは1995年ごろから、当時は隔週刊だったテレビ情報誌「テレビブロス」を愛読していたそうで、
「当時の現状で、サブカル界隈の流れを表層的にせよ捉えていたのがテレビブロスで、充実したコラムの中でも最も信用の置けるライターの一人だったのが川勝さん。」
映画に音楽、漫画に文学にエロ。川勝正幸さんの守備範囲が余りに多岐に渡りすぎて、この本を紹介したくても、うまくまとまりませんでした。それでいいんでしょうね。
「究極は、子供を食べる目のないお化け(ペイルマン)の造形です。非常に不気味なんだけど、どこかひょうきんさがある。水木しげる先生の漫画に出てくる妖怪に近い。(2006 ギレルモ・デル・トロ『パンズ・ラビリンス』対談:杉作J太郎x大根仁 司会:川勝正幸)」
こちょこ 
瀬戸よろけ紋 色絵カップ 大正時代




2021年11月14日日曜日

こちょことこしょ

11月23-28日


こしょ

城市郎 発禁本 福武文庫
「発禁本」というワードを調べてみると、
「国家によって出版、発売が禁止された図書。発売禁止本の略。一般的には、社会秩序や風俗を乱す、または宗教的に不適切であるなどの理由によって禁止される」とあります。
そんな発禁本のコレクターである著者によって、明治から昭和時代にかけて発売・頒布の禁止処分を受けた書物と、発禁となった経緯について書かれたのが本書です。
川島さんによれば「発禁本はエロ系か政治系に大別される」のだとか。
中でも自分がショックを受けたのは、昭和初期のプロレタリア作家である小林多喜二の発禁本についてでした。
「発売直後に、多喜二は小樽警察に呼ばれて取り調べを受けますが、官憲が目クジラ立てたのは特に、次のカニ缶の献上品云々の部分です。(中略)
『俺達の本当の血と汗を搾り上げて作るものだ。フン さぞうめえこったろ。食ってしまってから、腹痛でも起こさねばいいさ』(中略)『石ころでも入れておけ!ー構うもんか!』
(一九二八年三月十五日・蟹工船 小林多喜二)」




2021年11月13日土曜日

こちょことこしょ

 

11月23日-28日
こちょこ
和ガラスのちょこ
取手付きは明治から大正時代のアイスクリームを容れるグラス。ちっちゃい!
当時はアイスクリームは貴重で高価な食べものだったんでしょうね。
あと二つは昭和初期から戦前のもの。
右端のグラスはカケを金で繕っています。
古いガラスの揺らぎや手触りは不思議とあたたかみがあります。





いよいよ来週土曜日から!

  @kimuraya0099 キムラヤさんの展示会がSTARTします! 3.30sat-4.5sat      展示会の器もこちらからご紹介。 クマの顔付き花瓶「花ぐま」 キャラになりすぎない絶妙なラインの造形がキムラヤさんらしい1点モノです。 初日の30日と31日はキムラヤさ...