2018年8月28日火曜日

ものづくりの人間としての矜持


十勝の木のうつわ展

以下は今年の6月、幕別町の旧小学校に佐々木要さんの工房を訪ねて、伺ったお話です。
会計士から材木屋へ、木の凄みに出逢う。
木を挽くことが大好きになって、それだけにとどまらず仕事後、夜な夜な趣味で器作りを始める。器の性質をもっと知りたい。もっと木に触れていたい。
そのうちに挽きたての生の木を木ろくろで刳るとどうなるのか。
70年代後半のことで、グリーン材という言葉すらなかった時代。
北海道という土地柄、伝統工芸としての木工技法を知るすべもなく、まわりの仲間でも同じことに関心を持つ人はいなかった。
アメリカから、グリーン材などウッドクラフトの本を取り寄せ、独学で研究する。
木のうつわ作りの仕事をはじめるにあたって、退職金を全て木材費に充てた。
とにかく木が大好きで、いつも触っていたい。形も厚みも手触りも。
本当に好きでないとこんなに続かない。



木の自然乾燥
木材として木の器を刳れるようになるまで。「一寸一年」ともいう。
裏庭で乾かしている材木で一番の古参は17年もの。
最も厚い材木で10cm。
挽くのは冬が多い。挽く(裁断)
送られてきたときは直に積まれており、水分のせいで1日でカビが生える。
まんぼう(さん木)を二日がかりであてがう。空気が通るようにする。
素人では一本すらあてがうことが不可能=積んだときにガタガタになり、崩れやすい。
自然の空気にあて徐々に、じっくり木の含水率を減らしていく。
今年は6月に挽いた。含水率は70−80%で、重さ70−80kg。
挽きたての木材は含水率が100%を超える。一立方m=1トンといわれる。
2年ほどかけて自然外気で15−18%まで。
自然乾燥では最速で3−6ヶ月。2−3年かかることも。
さらに室内で乾かして器の材木となるまで含水率を10%以下にする。



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