2015年9月15日火曜日

いにま陶房と「やさしい器」



作者の鈴木雄一郎さんの器が、今まで以上に変化し始めている。
私が強くそう感じたのはこの2、3年のことです。
昨年、雄一郎さんは「やさしい器」シリーズを発表しました。

「やさしい器」は食べ物をすくう際、外に逃げにくく作られています。
親指を縁に、器をテーブルに置いて使う時に、なるべく手を添えやすい丸みと高さになるよう工夫されています。
高台は安定感があり、安心してお使いいただけます。
少し手が不自由な方や、まだ食器を使い慣れていない子ども達にも使いやすさが実感できる器です。
大人と子ども用それぞれのお茶碗、リムボウルやカレー皿など、バリエーションも豊かで用途も様々にお使いいただけます。

鈴木さんご夫婦との出会いは2009年、お二人が長野の松本クラフトフェアに出店されていた時。いにま陶房の、シンプルで美しいその器の佇まいに感動し、その場でお話したのが初めでした。
そして、私が初めて奈良・吉野のご自宅と工房を訪ねたのは、それから3年後の2012年春のことでした。

このとき、智子さんは片足を引きずりながら杖をついていました。
その1年以上前、ご主人の雄一郎さんより智子さん急病の報せを受けました。脳の病気に犯されて倒れてしまったということ。
しばらくは作陶再開はおろか、身体の回復のめどもつかない、との旨でした。

ご自宅でお会いした智子さんはリハビリ中で、未だ半身麻痺が残っているけど、ようやく少しずつ回復してきている、とのこと。

智子さんの病気をきっかけに生まれた「より使いやすい器を」という想い。
雄一郎さんがこの「優しい器」シリーズを作り始めて、今まで何度も試作をくり返しては改良されてきたのでしょう。
その深い愛情と、器作りにたずさわる人の研鑽の集大成が、ここに結実しています。

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